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剣道連盟で金銭授受問題、「段位」制度はもはや時代遅れ?、、、日本の伝統的な「道」は、全て金に汚染されているかも?
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    剣道連盟で金銭授受問題、「段位」制度はもはや時代遅れ?

    Yahoo!ニュース 8
    全日本剣道連盟下の一部門・居合道で昇段を巡る金銭授受問題が発覚した Photo:PIXTA

    ● アマチュア競技団体の不祥事 今度は剣道連盟の居合道で発覚

     競技団体の不祥事が続く中、今度は全日本剣道連盟(全剣連)で長年続いていた不正が発覚した。

     全剣連は剣道、居合道、杖道(じょうどう・木製の棒や木刀を使って形を見せる)の3部門を統括しているが、不正があったのは居合道。最高位の八段および、それにつく称号である「範士」の昇段審査で金銭の授受があったという。

     剣道の段位は初段から八段まであるが、段位を上げて高段者になるには一生かかる厳しい道だ。初段は一級(級は六級から一級まで)を持つ13歳以上の者が審査を受ければ大体取得できるが、二段は初段取得後1年以上修業、三段は二段取得後2年以上修業といった具合に、昇段審査を受けるには一定の修業期間が設けられている。また、段位が上がれば上がるほど昇段審査は厳しくなり、合格率も下がっていく。だから才能に恵まれた者が修業に打ち込んだとしても五段になるには10年以上、六段になるには20年近くかかるといわれる。

     最高位である八段の昇段審査の受審資格を得るには七段取得後10年以上の修業が必要なうえ、合格率は約1%。この道一筋で30年から40年、修業を積んできた猛者たちが100人受けても1人合格するかどうかという狭き門なのだ。

     五段以上の高段者には段位とは別に、指導力や人格を備えていることを示す「称号」を与える審査もある。称号は「錬士」、「教士」、「範士」の三種。たとえば錬士は、五段取得後10年以上修業したうえで所属連盟会長から推薦された者に受審資格が与えられるといったように、それぞれ厳しい条件がつく。だから最高位の八段と範士までたどり着けるのは、ごくわずかだ。全剣連の居合道部門の会員は約9万人いるが、範士八段は50人ほどしかいないという。

     この、ごく限られた者しか挑戦できない頂点の審査において合格のための金銭授受の不正が行われていたのだ。審査員は範士八段が務めるという。居合道は形を見せるものであり、評価には主観的な要素が入る余地がある。その辺の事情に明るい関係者が仲介役となり、どうしても合格したい受審者から金銭を受け取って審査員に分配していたようだ。不正が発覚したのはひとりの受審者の告発がきっかけだが、その告発状によれば総額で650万円の要求があったそうだ。

    ● 現代でも生きている 武道や芸事の世界独特の慣習

     今回の問題が報道された後、全剣連居合道部門の関係者は、「反省している、再発防止に努める」としながらも、「正当化するつもりはないが、茶道や華道など芸事の世界では、こうした行為はよくある」とも語ったという。

     たしかに日本の伝統的な武道や芸事では、ありがちな話だ。茶道や華道に段位はないが、流派によって技能の等級を表わす「許状」があって、その取得のためには付け届けが必要だといわれる。日本舞踊もそうだ。技能が上達した証しである名取になるにも、弟子をとって指導できる師範になるにも、家元や師匠に100万円単位の大金を収めなければならない、といった話も聞く。

     少々色あいは異なるが、大相撲には年寄名跡(親方株)がある。親方として部屋を持ち、弟子を指導するための資格で、かつては1億円以上で売買された。現在は名跡の売買は禁止されたが、名跡を譲り受けた親方が先代親方に顧問料を払うことは認められており、金額は安くなったものの金銭授受は残っている。

     大金を払ってでも段位や許状、名跡を取得すればいいことがあるのだ。取得すれば周囲から尊敬の目で見られるし、弟子を取って指導することもできる。居合道の範士八段にしても、学校や自ら経営する道場で指導する際に箔がつくわけだ。また、昇段審査の審査員を務めることができる。審査員は最高権威者であり、この道を歩んできた者は誰もが憧れる存在だ。大変な努力をしてなったという思いがあるだろうし、中には大金を支払ってこの地位についた人もいるだろう。自分も払ったんだから、その見返りを求める意識が働くのも無理はない。そのようにして続いてきた慣習なのだ。

     「他の芸事ではよくあること」という関係者は次のような感覚なのだろう。このレベルまで達する者は長年居合道にすべてを捧げ、技能抜群の達人ばかり。八段や範士の受審はその集大成であり権威を付与するものだ。そこには他の世界にはない慣習がある、と。

    ● 「スポーツ」と「武道」の齟齬 改めるべきことは改める時期に

     しかし、だからといって金銭絡みの情実で合格が決まるのは許されることではない。級から始まって、初段から段位を上げていく過程の審査は厳正に行われているはずだ。その最終到達点の審査で不正が行われていれば、すべての段位審査の信用さえ失いかねないのだ。

     全剣連によれば最高段位の八段は「剣道の奥義に通暁、成熟し技量円熟なる者」、範士は「剣理に通暁、成熟し、識見卓越かつ人格徳操高潔なる者」に付与するとある。こうした存在として認められるために金銭授受が必要というのは風刺でしかない。

     そもそも武道の段位には、一般社会から見て首を傾げたくなることばかりだ。たとえば柔道。全日本選手権や、さらにその先の世界選手権、オリンピックに出場する選手の多くは三段から五段だ。最強の柔道家といわれる山下泰裕氏(現全日本柔道連盟会長)が1984年ロス五輪で優勝した時は五段だった。前人未到の203連勝して引退した時でも六段。過去の例では十段取得者もいるのにだ(実は柔道の段位に上限はないとされている)。また、剣道の全日本選手権優勝者も五段、六段の選手が多い(過去には七段もいた)。一番強い選手でも最高段位ではないのだ。

     一度上がった段位は下がらないということもある。段位は強さだけで決まるものではなく、どれだけ修業を積んだか、奥義に達し、指導力を発揮するという要素もある。七段、八段の人は年齢的な衰えもあって強さは発揮できないが、柔道家、剣道家としてはそれ以上の存在になっているというわけだ。囲碁、将棋の場合、段位と強さは比較的一致するが、強さに技術だけでなく若さ=パワー、スピードなどが必要な柔道・剣道は、一致させることが難しいのだ。

     つまり剣道、柔道の七段、八段は権威的存在といえるだろう。そこが伝統的な芸事と共通している部分であり、現代の常識との齟齬が生まれるわけだ。

     しかし今は競技を見る側も、そして若い選手たちもスポーツとしてとらえている。フェアでなければ成立しないのだ。剣道、柔道は日本が誇る武道であることは確かだが、今回のような不正は世間の理解を超えている。伝統を守るだけでなく、改めるべきことは改める時期にきているのではないだろうか。

     (スポーツライター 相沢光一)

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