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なぜ小学校教諭は「残業代ゼロ円」なのか・・・孤立無援で戦っているのがさわやかだ!!
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    なぜ小学校教諭は「残業代ゼロ円」なのか 3/11(月) 9:15配信 ※写真はイメージです(写真=iStock.com/7maru) 公立小学校の教員は、どれだけ残業をしても残業代はゼロ円だ。埼玉県の公立小学校に勤める教員は「これでは次の世代が安心して働けない」と、定年直前の昨年9月、残業代の支払いを求めて県を訴えた。訴訟の理由について、本人に聞いた――。 ■訴訟を起こした小学校教諭にインタビュー  いよいよ2018年度も、残すところ1カ月を切った。  この一年は、国において教員の働き方改革の議論が一気に加速した。2019年1月には中央教育審議会が、教員の働き方に関する答申をとりまとめたところである。  そしてこの動きに合わせるかのように、長時間労働をめぐる訴訟が起きている。埼玉県において公立小学校教諭が残業代の不払いについて提訴したケースは、教育関係者を驚かせた(産経新聞2018年12月15日「埼玉教員残業代訴訟 『義務ない』、県は争う姿勢」)。今年2月には、大阪府で30代の公立高校教諭が長時間労働により適応障害が発症したとして、実名で提訴したことが話題になったばかりだ(毎日新聞2019年2月15日「『過労で適応障害に』 府立高教諭が大阪府を提訴」)。  なぜ今、声をあげたのか。埼玉県の小学校教諭(仮名:田中まさお氏)に、訴訟に踏み切った思いの一端を語ってもらった。 ---------- <田中まさお先生 裁判の概要> 埼玉県の公立小学校に勤める、教職38年目のベテラン教員。時間外の業務を余儀なくされているにもかかわらず、残業代が支払われないのは違法として、県に約240万円の未払い賃金の支払いを求めて2018年9月に提訴した。 訴えに対して県側は、残業代支払いの義務はないと争う姿勢を示している。公立校の教員には月給に上乗せするかたちで4%分の「教職調整額」が支給されており、これにより正規の勤務時間内外の業務は包括的に評価されているとの見解である。 ----------  ※公立校における時間外労働の法的な規定については、拙稿「残業代ゼロ 教員の長時間労働を生む法制度」を参照してほしい。 ■裁判の勝ち負けよりも大事なこと  【内田】今日は田中まさお先生に、裁判に至った経緯や思いについて伺いたいと思います。ストレートに僕の気持ちを申し上げると、田中先生が裁判を起こすという第一報を昨年秋にネットのニュースで知ったとき、本当に驚きました。そもそも勝ち目が薄い。というのも、いわゆる給特法(「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」)をめぐる残業代の不払いについては、これまで教員組合が訴訟を起こして、負け続けてきましたよね。裁判で不払いをどうにかできるなんて、もう誰も考えてなかった。それでも裁判を起こそうと思った理由は何でしょうか。  【田中】働いたらお金がもらえる。そんなことは子どもだってわかることですよ。なのに、残業したところで「あなた、それは自主的にやったことだから残業代はありませんよ」なんて通用しないでしょう。僕は、子どもみたいなところがあるんですよ。単純に、「働いたらお金がもらえるはずだ」と。大人があれこれと言っているだけで、結局はお金を出したくないだけです。ただ、世の中の人たちはまだそのことを知らない。だからまずは、残業代が出ていないということを、日本中の人に広く知ってもらいたい。  【内田】裁判の勝ち負け以上に大事なことがある。まずは知ってほしい、と なぜ小学校教諭は「残業代ゼロ円」なのか 3/11(月) 9:15配信 ■「田中まさお」としてマスコミに出る理由  【内田】でも田中先生、裁判ともなれば自分の情報がいろいろと公になりますから、リスクが大きいですよね。覚悟が必要だったのではないでしょうか。  【田中】実は裁判の手続きに着手するまでは、何の抵抗もなかったです。「おかしいことは、おかしい」と、子どもたちは言います。それと同じです。ただ、実際に着手してみてわかったことは、自分の名前を出してしまったら、子どもや学校に迷惑をかけるということです。  マスコミが学校に来たり、裁判を快く思わない人が学校に電話をかけてきたりすれば、自分以外の人にたくさんの迷惑をかけてしまいます。自分の学校に迷惑をかけたくない、保護者や子どもに迷惑をかけたくない。だから今は、裁判の書類には本名を書きますが、マスコミ報道では匿名で「田中まさお」にしてもらっています。  【内田】もし仮に、子どもや保護者、学校への迷惑がかからないとしたらどうでしょう?  自分自身の都合だけを考えた場合です。  【田中】それだったら、名前を出してもぜんぜんかまわない。むしろ名前を出したいくらいです。だって僕、全国に友だちがいるから。本当は、そういう人たちにも、自分が闘っていることを知ってほしいんです。 ■「次の世代に残してはならない」  【内田】田中先生の裁判の中身については、本当にたくさんのメディアが報じてくれています。他方で僕は、裁判の内容以上に、田中先生が定年間際のタイミングで提訴したことが、とても気になっています。何か強い思いや意図があるのではないか、と。  【田中】けじめなんです。  【内田】けじめ?  区切りということですか。  【田中】僕たちがかつて、個々別々に自主的な判断で、「これは子どもに良い」と言ってやってきた業務が、今は正式な仕事として学校に残ってしまった。しかも、莫大な量で、かつ無賃です。その責任は、僕たちにあるんですよ。とにかく、次の世代に残してはいけないんです。学術的・法律的にはよくわかりません。ただ、無理矢理に仕事をさせられているから、お金は出してよということです。昔は、何をやるべきかを自分で選べたので、もっと自由でした。僕は38年間の教師生活があるから、その違いがわかる。これは定年間近の僕だからこそ言えることなのです。  【内田】教師経験が長いから、自由度が高かった時代から自由度がなく業務量が多い時代への変化がわかる。その責任を感じていらっしゃる。  【田中】はい、だからリセットして、変えていく責任があるんです。 なぜ小学校教諭は「残業代ゼロ円」なのか 3/11(月) 9:15配信 ■なぜ「定年退職間際」のタイミングを選んだか  【内田】若い世代のためとは言っても、結構、個人的なリスクが大きいですよね。  【田中】この裁判を55歳で始めていたら、教育委員会から不遇な扱いを受けていたかもしれません。今だって、目に見えない、いろいろなプレッシャーを感じています。「組織に反対したら、いじめるぞ」って。「いじめをやめなさい」と言っている人たちが、いじめてくるんだよ。おかしいでしょ。そこに気がつけないのは、悲しいことですよね。  【内田】55歳の段階では、まだ自分の教師としての人生が残っているから、提訴は無理だった。自分へのリスクを最小限に抑えられる定年直前の今、提訴に踏み切った。  【田中】そう。定年になる年か、せいぜいその一年前くらいだったら、自分へのいじめや不遇を最小限に抑えられる。前々から「いつかは、やるぞ。けじめをつけるために裁判するぞ」とは思っていましたけど、定年間際が最善のタイミングということです。さらに取材のときに匿名で応じれば、子どもや保護者、学校への迷惑も最小限にとどめられる。  【内田】なんて戦略的!  まさに、今しかなかったわけですね。 ■「学校は、変えられますよ」  【内田】田中先生は、定年退職後も何からの見通しを立てていらっしゃるのですか。  【田中】再雇用という形で働けるなら、そうしたいです。  【内田】行政にケンカ売ってるから、再雇用は難しそうな気がしますが……。  【田中】それはわからないけれど、これから学校現場がどう変わっていくかを見ていきたいんです。そして、その変わっていく様子を発信していきたいんです。裁判をやっているのは、自分の強みです。管理職も気を遣わざるをえない。裁判で訴えているからこそ、今の学校には改革の素地ができつつある。日本のトップレベルになる気がする。学校は、変えられますよ。  【内田】先生、強い!  教員として働きつづけて、学校を変えてほしいです。闘いは、これからが本番ですね。  【田中】裁判は、4年くらいは覚悟しています。最高裁まで闘う覚悟でいますから。その4年間の裁判を通して、無賃残業への関心が世の中に拡がっていけばいい。日本をよくしたいですね。 なぜ小学校教諭は「残業代ゼロ円」なのか 3/11(月) 9:15配信 ■年長者としての責任を感じさせる  以上が、定年間際に裁判に踏み切った田中先生の語りである。  冒頭の語りにある通り、田中先生には、長時間労働を無理にさせられているのに対価が支払われないのは単純におかしいという思いがあった。  そこに、定年退職というタイミングが重なった。本年度で満60歳になる。この現状を次の世代に残してはならないという年長者としての責任を感じた。最後の一年であれば、人事などの点で不利益を受ける可能性も低いと考えられた。  教員の働き方改革の機運も高まるなか、まさに今しかないタイミングで、裁判が開始されたといえる。第1回の口頭弁論は、2018年12月14日、さいたま地裁(石垣陽介裁判長)において開かれた。田中先生の想定を超えて、たくさんの傍聴者が訪れた。第2回口頭弁論は2月22日に開催されたばかりだ。大学生から退職教員まで第1回よりもさらに多くの傍聴者が席を埋めた。遠くは、関西方面から駆けつけた人もいた。 ■特定の団体の支援なしで裁判を起こした  私自身も、第1回、第2回と裁判を傍聴してきた。第2回の期日はそもそもほとんど知られていなかったし、その場での審理時間は10分ほどにすぎないことも予期されていた。それにもかかわらず、第1回よりも傍聴者が増え、その後の報告会には約30名が集い、会議室の席が足りないほどであった。  田中先生は、特定の団体の支援を借りることもなく、裁判を起こした。各回の口頭弁論直後の報告会に集まった老若男女は、見事にみんな別々の背景や職業をもっている。教員の長時間労働に関心があるということだけが、唯一の共通点である。  裁判の勝ち負け以上に、「残業代が出ていないということを、日本中の人に広く知ってもらいたい」という田中先生にとって、闘いの成果は、すでに見え始めているのかもしれない。 ---------- 【参考情報】 上記のインタビュー記録は、第1回口頭弁論の数週間後に収録したものをベースに、新たに第2回口頭弁論直後の取材で得た情報を追記して構成した。 裁判における田中先生の具体的な主張や争点については、さまざまな報道で言及されている。また、田中先生が3月に入って公開したウェブサイト「教員無賃残業訴訟・田中まさおのサイト」には、今回の裁判に関する各種資料が掲載されている。 なお、田中先生の言葉にじっくりと触れたい方は、昨年12月のインタビュー動画をご覧いただきたい。後半部分には、第1回口頭弁論時の田中先生による意見陳述の再現動画を収録した。ぜひ田中先生の思いを感じ取ってほしい。 ---------- ---------- 内田 良(うちだ・りょう) 名古屋大学大学院 准教授 1976年生まれ。専門は教育社会学。ウェブサイト「学校リスク研究所」を主宰し、また最新記事をYahoo! ニュース「リスク・リポート」にて発信している。著書に『学校ハラスメント』(朝日新書、近刊)、『ブラック部活動』(東洋館出版社)、『教師のブラック残業』(学陽書房、共著)、『教育という病』(光文社新書)などがある。ヤフーオーサーアワード2015受賞。Twitterアカウントは、@RyoUchida_RIRIS ---------- 名古屋大学大学院 准教授 内田 良 写真=iStock.com
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